シークヮーサー本来の味をそのままに。勝山シークヮーサーのおいしさの秘密
2021.06.01
FOOD沖縄県の特産品として多くの人に親しまれているシークヮーサー。近年では果皮に含まれる「ノビレチン」の健康への効果が期待され、数多くの加工品が発売されています。中でも新鮮で良質な原料にこだわってジュースを作る「有限会社勝山シークヮーサー」は、安心、安全を追求するブランドとして一目置かれる存在。勝山シークヮーサーの営業課長、仲村さんにお話を伺いました。
シークヮーサーで地域を盛り上げたい
勝山シークヮーサーのある沖縄本島北部・名護市勝山は、嘉津宇岳(かつうだけ)や安和岳(あわだけ)など、標高450メートルほどの山々に囲まれた緑豊かな地域です。昔からシークヮーサーが自生するこの土地に工場と販売店を構え、勝山区をはじめとする本島北部地域の生産者が育てた果実を使って、勝山シークヮーサーは加工品の製造と販売を行っています。
「地元で採れるシークヮーサーで地域おこしをしよう、というのがはじまりでした。もともとは果実を販売する出荷組合だったのですが、それだけだと付加価値をつけるのが難しいと感じ、自分たちにしかできないおいしい加工品を作ろうと、2003年に農業生産法人として有限会社勝山シークヮーサーを立ち上げました」
安心して飲める勝山ブランドを築きあげるために
設立当初から変わらないモットーは、子どもや孫にも自信を持って勧められるシークヮーサージュースを作ること。言葉にするのは簡単ですが、これを実行するためには並々ならぬ原料へのこだわりと、徹底した品質管理が欠かせません。
「原料となるシークヮーサーは、生産農家さんから直接仕入れた、勝山地域を含む北部地域の果実を100%使用しています。農家さんが厳しい基準を守りながら、真心込めて育てたシークヮーサーのおいしさを、そのまま瓶に詰めて届けたいという思いから、無添加、無着色にもこだわっています。そしてなにより大事にしていることは、使用する果実の選別を人の手で行う、ということ。これも先代から変わらず続けていることです。社内規定に沿って、ヘタが落ちていないか、虫食いや傷みがないかなど、目視で確認します。また、シークヮーサーのおいしさを保つ上で欠かせないのが鮮度。とれたての味と香りが楽しめるように、搾汁工程にこだわり、賞味期限も短くしています」
2005年には「生産者の顔の見える商品づくり」を指針として掲げ、シークヮーサー飲料加工メーカーとしては初の試みであるトレーサビリティ(生産流通情報把握)システムを導入しました。農薬管理などを記帳する「栽培管理日誌」を作成することで、各生産農家さんの栽培履歴を管理し、商品のロットナンバーから生産者情報を追跡できるような仕組みを作っています。
季節によって味の変化を楽しんで
シークヮーサーの収穫時期は8月頃から12月頃まで。夏は、熟す前の皮が緑色の果実『青切り』が、秋から冬かけてはオレンジ色の果実『完熟』が市場に出回ります。
「シークヮーサーといえば青切りのイメージがあるかと思いますが、実は完熟も甘みがあっておいしいんです。季節によって変わるシークヮーサーの味わいを楽しんでもらおうと、それぞれの果実を搾ったストレートジュースを作りました」
パッケージにも青切り、完熟と記載することで、手に取るお客さんも一目瞭然。好みや気分で飲み分けてみのるのも新しいシークヮーサーの楽しみ方ですよと、仲村さんはいいます。
そんな仲村さんに、ジュース以外にも、シークヮーサーのおすすめの使い方を聞いてみました。
「沖縄そばにシークヮーサーとコーレーグースを入れることで、爽やかな酸味が加わり、より味がしまります。スムージーやトマトジュースの隠し味として入れたり、卵と一緒に混ぜてシークヮーサー風味の卵焼きを作るものおすすめですよ」
大切なのは地域とのつながり
勝山シークヮーサーの商品は、豊富なラインナップも魅力。深みのある酸味とさわやかな香りが引き立つ『沖縄県産果汁100%勝山シークヮーサー青切り』、ほのかな甘みとすっきりした後味が特徴の『沖縄県産果汁100%勝山シークヮーサー完熟』のほか、看板商品の「sea-sun(シーサン)勝山シークヮーサー500ml」や、シークヮーサー本来の香りとキリッとした酸味が一瞬で口の中に広がる「皮も種もまるごと搾り」も人気です。
「勝山シークヮーサーを通して勝山という地域を知って、実際に訪れて好きになってもらえたら何より嬉しい。勝山シークヮーサーのジュースを飲んだ県内外の方がリピーターになって直売所を訪れたついでに、この地域で1日過ごしていくことがありますが、それはまさに私たちが目指していることです。勝山にはシークヮーサー以外にも雄大な自然の中を歩くトレッキングや「ヒージャーオーラセー」というヤギの決闘など、たくさんの魅力があります。2017年からは生産者や地域のお店が参加するフリーマーケット『勝山軽トラ市』も毎月第四日曜日に開催していますよ。コロナが収束したらぜひ遊びに来てくださいね」
地域に根ざし、地域の生産者とともに作り上げる勝山ブランド。いつまでも変わらない、安心して飲める、「本物のおいしさ」を、これからも勝山の土地から届けます。