琉球伝統菓子のちんすこうを新感覚で楽しむ「くがにちんすこう」
2023.02.25
FOOD口に入れた瞬間に、ほどけるように滑らかな舌触りに、初めて食べた人はみな驚くと言います。思わず「これってちんすこうなの?」ときいてしまうような食感と口溶けの「くがにちんすこう」。まちの小さなお菓子屋さんが作る、沖縄の新しい手みやげはいかがですか?
小麦粉へのこだわりが味と食感の違いを生む
「くがにちんすこう」を作っているのは那覇市のやちむん通り近くに店舗を構える「琉球銘菓くがにやあ」。2010年、伝統菓子をベースに自分たちが満足いくものを作りたいと、新垣實さんが始めました。
「社長である新垣實は私の父なんですが、私を含め5人兄妹がそれぞれできるかたちで手伝っています。兄がたまたま調理師だったこともあり、商品は父と兄で試行錯誤しながら完成させました」。そう話すのは三女の新垣尚香さん。
ちんすこうは小麦粉、ラード、砂糖の3つの素材で作るのが基本。言ってみれば、オーソドックスなちんすこうの素材はどのお店も同じです。そこで違いを出すためには、素材の産地や製造方法が鍵になります。
「うちが使っているのは、香川県産の『さぬきの夢2000』という小麦粉です。ちんすこうを作ろうと試作を始めた時に、産地も製造工程も異なる小麦粉をたくさん集めて実際に使ってみたんです。その時に、香りや味で一番いいと思ったのがこの小麦粉だったんです」。
きめの細かさと密度の濃さ、焼き上がった時の香ばしさ。他にはない、オリジナリティのあるちんすこうを作りたかった實さんは、試作を食べてすぐにこの小麦粉を使うことを決めたといいます。
そして、食べた時の食感を追求するために、ちんすこうの「プレミアム」ではうるま市産の山芋を入れるとともに、火熱式窯で高温で焼き上げ、サクッとした心地よい食感に仕上げることができたのです。
ほっとする素朴で豊かな味わいを
「くがにやあ」が作るちんすこうは、プレーンのほかに、塩(粟国島産)、カーブチー(名護市勝山産)、金ゴマなどの種類があります。味や食感の新しさだけでなく、目を引くパッケージも伝統菓子の中では新たな風を感じる雰囲気。しかも、パッケージのイラストは社長である實さんが自ら描いているというのだから驚いてしまいます。また、紅型を用いたパッケージデザインは、娘である紅型作家の新垣優香さんの作品。鮮やかな色使いとその華やかさは、内祝いやお中元やお歳暮、手みやげで購入する人が多いというのも納得です。
黄金(くがに)のように輝くちんすこうを作りたいとの想いから生まれた「くがにちんすこう」。風味豊かで、ささやかな贅沢さと幸せを届けてくれる沖縄の新たなお菓子です。